早稲田大学ラグビー部入部式で講演
(新入生はのちの大田尾主将の学年)
[2000年4月8日 東伏見運動場内 校舎]

すごい人たちの中でいかにして目立つか

今日は入部式と聞いて自分の入部式のことを思い出したんだ。1977年、昭和52年だから、23年前になる。つまり、今の4年生も生まれる前。そこまで歳をとったかという気がするけど、まずは自分の入部式のことを話そうと思います。
 僕が入る直前の早稲田はすごく強かった。大学日本一というのは当たり前の話で、いかにして日本選手権に勝つかということを目標にしていました。石塚(武生)キャプテンや植山(信幸)さんらを擁して、近鉄と日本選手権で死闘を繰り広げたのを僕は高校生の時に見ていました。
 そして、自分が初めてこのグラウンドに来たら、そういうすごい人たちがいっぱいいる。「わあ、恐いなあ、これからどうなるんだろう」と思いましたね。

僕は、高校出た後、すぐには早稲田に通らなかった。早稲田でラグビーをしたかったから早稲田しか受けなかったんだけどね。
 東京に出てこようと思って、なんとか駿台(予備校)にもぐり込んで1年間浪人した。東京がおもしろいから、毎晩、歌舞伎町あたりで遊んでた。これはいかんと思ったのが2月の頭ぐらい。早稲田の入試は2月20日くらいだったから、最後の2週間は必死で勉強して、なんとか政経学部に通った。で、ここにやってきたわけです。

やってきたのは入学式の日。その2、3日後が入部式だったと思います。今日、1年生にはこれをぜひ期待したいんですが、僕は入部式の日に一発かましてやろう思っていた。やはり自分も高校生の時に一生懸命ラグビーをやったというプライドもあったし、一発ここで目立たなければいけないと思った。
 今日も試合をやると思いますが、当時も入部式の日に試合がありました。僕は当時FBをやっていたんですが、宿沢(広朗)先輩がSHやっていて、もう彼もいまはすっかりおじさんになりましたが、当時はまだ全日本を辞めた直後。で、自分の学部の先輩、宿沢さんにあいさつをして、「こいつに一発タックル決めてやろう」と、こう思ったんです。これをなんとか狙ってやろうと。
 おかげさまで一発決まって、その後しばらく2本目を維持しました。だから、今日、1年生にはチャンスがありますからぜひ頑張ってください。

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