海老沢 勝二【日本放送協会会長】
湾岸戦争当時イランでNHKの朝の連続テレビ小説「おしん」が放送され、貧しさに耐えて強く生きる姿が大いに共感を呼びました。このことを駐イラン日本大使館に勤務中に体験していた奥大使はイラクでの「おしん」の放送の実現に貢献しました。イラクの人々の心の復興のために奥大使が成し遂げた偉業でした。NHKはこうした奥大使のイラクでの足跡をまとめたNHKスペシャルを今年の3月に放送し、視聴者の皆さんから多くの反響をいただきました。
イラクで凶弾に倒れた奥大使と井ノ上書記官の遺志を継いで、イラクの子どもたちの活動を支援する「奥・井ノ上イラク子ども基金」が設立されることになりました。二人がイラク復興のために文字通り命を懸けて奔走した足跡に思いをいたし、一人の人間として何かできることはないかと考えた上で基金の発起人をお引き受けした次第です。イラクの子どもたちのために基金が有効に活用されることを期待しています。